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食べ物の起源?オオゲツヒメ・保食神・ワクムスビという3柱の神様について

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皆さんが毎日食べている食べ物。

スーパーに行けば当たり前のように食材が並んでいます。

 

そんな我々が普段目にしている食材も、日本神話では神様が生み出したものとして記述されています。

しかもとてもユニーク(?)な方法で。

 

今回は、日本の食べ物に関する3柱の神様をご紹介します!!

 

オオゲツヒメ」「保食神ウケモチ)」は、殺された後に食べ物がうまれてくる

オオゲツヒメ保食神ウケモチ)の神様ですが、この2柱は驚くほど多くの共通性があります。

このことから、オオゲツヒメ保食神は同一の神様ではないかという説もあります。

 

オオゲツヒメ保食神の共通性

この2柱は、そのストーリーにおいて共通性が多々あります。

オオゲツヒメ保食神のどちらも、以下のようなストーリーで話がすすんで行きます。

 

自分の体から出した食べ物でもてなす

「汚ねぇわ!!」と怒った神に殺される

死体から食材がうまれる

高天原の神が「種」を持ち帰る

 

といったストーリーになっています。

 

さらに、オオゲツヒメスサノオに、保食神ツクヨミに殺されています。

スサノオツクヨミは、イザナギイザナミが産んだ最後の子である「三貴子」のくくりの神様であり、何かしらの関連がありそうです。

 

 

 

オオゲツヒメ保食神の一番の違いは、登場する書物!

オオゲツヒメ保食神のストーリーは細かい部分で違いがあります。

しかし何といっても一番の違いと言えば、登場する書物がそれぞれに違うということが挙げられます。

 

オオゲツヒメは「古事記

保食神は「日本書紀

 

にそれぞれ登場します。

 

①かわいそう?スサノオに殺された「オオゲツヒメ

オオゲツヒメとは、大気都比売神とも書きます。

「ゲ」は食べ物を意味する言葉です。また、ヒメともある通り女神であるといえます。

 

スサノオオオゲツヒメの出会い

天照大御神に対して乱暴狼藉を働いたスサノオは、高天原を追放されてしまいます。

このときの乱暴狼藉のせいで、天照大御神は岩戸にこもってしまい、「岩戸開き」の神話が生まれたのですね。

 

高天原を追放されて寝るところもない、食べるところもない、ということで困ったスサノオは、オオゲツヒメに食べ物を乞います。

オオゲツヒメのもてなし

オオゲツヒメは、スサノオに対して、おいしい食べ物を体から取り出してスサノオに振るいます。

ちなみに食べ物を取り出していた体のパーツは、鼻や口や尻などからと言われています。

 

スサノオに殺される

オオゲツヒメが食べ物を出しているところをのぞき見したスサノオは、

 

「あいつ食べ物を汚してから出しやがった!!」

 

と言ってオオゲツヒメを切り殺します。

 

④死体から様々な食べ物がうまれる

すると、オオゲツヒメの死体から様々な食べ物が生まれてきました。

頭部→蚕

目→稲

耳→泡

鼻→小豆

陰部→麦

尻→大豆

 

⑤「種」の回収

そしてここで、神産巣日御祖命(かみむすびのおや)が登場します。

カミムスビは御祖(みおや)と呼ばれ、神様の母親的な位置づけで出てきます。

 

オオゲツヒメの死体から生えた五穀などから種を取り、それを回収したということです。

 

 

ツクヨミに殺された「保食神ウケモチ)」

保食神ウケモチと読み、「ウケ」という言葉は食べ物を意味します。

神話の記述内の「陰部」が女性器を指していることから、女神だと考えられています。

 

ツクヨミ保食神の出会い

ツクヨミは、天照大神に「葦原中国保食神見てきてよ」と頼まれて葦原中国に行きます。

保食神のもてなし

高天原より来たツクヨミに、保食神は食べ物でもてなします。

陸を向いて口から→米

海を向いて口から→魚

山を向いて口から→動物

をそれぞれ吐き出してもてなします。

ツクヨミに殺される

それを見たツクヨミは「気持ち悪い!」といい、即座に保食神を切り殺します。

 

ここからは古事記オオゲツヒメの物語と違うのですが、保食神を殺したツクヨミ天照大御神の怒りを買います。

アマテラスは「ツクヨミにはもう会いたくないわ!」といい、このエピソードにより太陽と月が昼と夜に分かれて出るようになったということです。

 

天照大神スサノオ高天原追放で、ツクヨミはこの件で縁を切り、兄弟仲の悪さがうかがえますね。

保食神の死体から食べ物がうまれる

天照大御神は天熊人(アメノクマヒト)という神様に、保食神の様子を見に行かせます。

天熊人の「クマ」は、神にささげるお米の意味と言われています。

 

そして死んだ保食神の体からは、たくさんの食べ物が出てきます。

頭部→牛と馬

額→粟

眉→蚕

目→稗(ひえ)

おへそ→稲

陰部→麦・大豆・小豆

 

これはオオゲツヒメもそうですが、出っ張ったところ(頭・眉)からは動物系(馬、牛、蚕)が出てきて、穴(目や陰部)からは穀物系が出てきていると認識してください。

⑤「種」の回収

ここでは、天照大御神が種を回収します。

その際に「これは葦原中国の人々が生きるための食べ物になる!」と大喜びをしています。

「粟・稗・麦・豆は陸(はたけ)に植えなさい」

「稲は水田に植えなさい」

と言いました。

 

これは、五穀や食べ物は、太陽神であるアマテラスの恵みであるという意味が込められています。

 

また、葦原中国に稲作をもたらした邇邇芸命(ニニギ)は、天照大御神の孫でしたね。

おそらくここでとれた稲の種子をニニギに持たせ、「斎庭稲穂の神勅」を申し渡したのだと考えられています。

 

③死なないけど、食べ物を産んだ「ワクムスビ

これまで紹介したオオゲツヒメ保食神は殺されて→食べ物がうまれるというパターンでしたね。

 

次に紹介をする「ワクムスビ」は生きながらにして食べ物を産んだ神様です。

 

ワクムスビ稚産霊和久産巣日神と表記されます。

「ワク」とは若々しいさまを表し、「ムスビ」は創造を表す言葉です。

ここからワクムスビは、繁殖力や生育を司る神様だと読み取ることができます。

 

ちなみにこのワクムスビですが、古事記日本書紀では産んだものが少々違います。

その辺に注意しながらご紹介をしたいと思います。

 

古事記でのワクムスビは、「豊受比売(トヨウケヒメ)」を産む

古事記では、ワクムスビイザナミの尿から生まれたとされています。

 

そして、ワクムスビは食の神様である「豊受比売(トヨウケヒメ)」を産んだとされています。

直接食べ物が体から生えてきたとかではなく、神様を産んでいるのですね。

 

日本書紀でのワクムスビは、体から食べ物を生んだ

日本書紀でのワクムスビは、イザナミの子供ではないとされています。

「ハニヤマヒメ」と「ミズハノメ」(両方ともイザナミの子)の間に生まれたとされています。

イザナミの子供の子供ということで、日本書紀ではイザナミは祖母という位置づけです。

 

また、日本書紀では食べ物などが直接体から生成されます。

頭部→蚕と桑

ヘソ→五穀

 

日本書紀の方がより具体的に「農業」を表現していますね。

 

これらの食物起源神話は、「ハイヌウェレ型神話」と呼ばれるもの

 

さて、「ハイヌウェレ型神話」という聞き慣れない&発音しにくいワードが出てきましたね。

 

 

ハイヌウェレ型神話(ハイヌウェレがたしんわ、ハイヌヴェレとも[1])とは、世界各地に見られる食物起源神話の型式の一つで、殺された神の死体から作物が生まれたとするものである。

引用:wikipedia『ハイヌウェレ神話』項より

 

この食物起源神話は、世界中にある神話ということですね。

どこかの神話が大元になっていて他はそのコピーなのか、それとも人間は大体同じことを考えるからなのか、その類似性の理由は分かっていません。

 

ただどの神話からも言えることですが、神様が自分の身を削って作ってくれたものが我々の口に入り、体を作っているのです。

 

飽食の時代は、食べ物の価値を貶めています。

神聖なものから、消費されるものに変化しているのです。

 

われわれは今一度、食に対する考え方を見直していくべきだと思います。