神道的生活

神道とは、人生を充実させることと見つけたり

神社やお寺が無くなるとどうなるかを、明治時代の天才が語る!神社の大切さを知りましょう。

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近年、廃寺や廃神社が多くなっているという報道を聞く機会が増えました。

信仰の場が消えてしまうのは、なんとも寂しいことですね。

 

さて、明治時代にも日本のお寺や神社がどんどんなくなった出来事があったことをご存知でしょうか?

それは、明治政府が主導した「神社合祀」という政策です。

国家神道を標榜していた明治政府下において、神社の維持費や人件費などはすべて国庫負担だったそうです。

その負担を取り除くために、神社同士を合体させて、神社の数を減らそうとしました。

 

しかしこの政策には反対も多く、途中で取りやめになりました。

神社合祀政策に反対した著名人の中に、明治時代の大天才・南方熊楠がいました。

 

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南方熊楠 - Wikipedia

 

この大天才・南方熊楠は、神社合祀政策によってどのようなデメリットが国に生まれるかを説いたのです。

 

今日は南方熊楠が説く、「神社が無くなる事のデメリット」をご紹介したいと思います。

 

神社やお寺が無くなるとどうなる??

南方熊楠は、8つの理由で神社が減ることに反対をしていました。 

 

①敬神思想を弱める

古来最寄りの地点に神明を勧請し 、社を建て 、産土神として朝夕参り 、朔望には 、必ず村中ことごとく参り 、もって神恩を謝し 、聖徳を仰ぐ 。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

 

まず、神社やお寺が無くなると、人間から神や仏の存在が薄れていきます。

「自分を超える世界」を意識しない人間は、利己的・自己中心的になっていきます。

 

神様を尊敬したくても、その対象となる神様がいない時にはどうなるでしょうか。神様を信仰しないよりも何でもいいから信仰したいという心から 、いろいろの淫祀を祭り 、蛇 、狐 、天狗 、生霊などを拝す事になります。

また心ならずも新興宗教などの、先祖とは無関係の信仰をしてしまう事もあります。先祖の霊牌を川へ流し 、田畑などを売ったお金を新興宗教に寄付し、望んでもない家業以外の仕事で整形をたて、病を治すと騙されて大食して死する者もいる。悪いものを食べ、身体を壊す者もいます。改宗はその人々の勝手であり自由ですが、改宗を余儀なくした明治政府には問題があります。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

 

最近では「売り上げの為なら何でもする」「欲望の為なら人を蹴落としても構わない」という人も多くなってきましたね。

そういった拝金主義もひとつの新興宗教と言えるでしょう。

 

 

②民の和融を妨げる

 

かくて大字ごとに存する神社は大いに社交をも助け 、平生頼みたりし用談も祭の日に片付いたりなどをする。仲が悪かったり、日ごろ付き合いがないような人間も、ここで和睦を結ぶ事ができるのです。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

 

ヨーロッパのある地方では、吹いたら飛ぶような木の皮で作った紙で作ったような礼拝堂があります。雪中に一週に一度この堂に人を集め 、世界の新聞を報じ 、さて郵便物の配布まで済ませています。老若男女が集まり、ワイワイと交流・社交の場ともなっています。この礼拝堂は、難しい説法をするだけの場所ではないのです。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

 

神社やお寺は、人が集まるコミュニティスペースでした。

そこで寄合や会合が開かれ、お祭りが行われ、そのコミュニティの人と人はつながれていきまひた。

 

村においては信仰が村の中心=絆でした。

その場が無くなるということは、人と人のふれあいの機会と、絆が薄くなるということを意味しています。

 

 

③地方を衰微する

金銭のみを理由に、千百年来 地方の中心であった神社を滅却するは、地方不繁盛の基である

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

 

南方は、

・神社は災害時に、民の財産を保管する倉庫になる

・お祭りや、昼市、夜市など、集落のイベント会場としても経済的効果がある

・悪いやつが少なくなる

・神社参拝で生計を立ててるおみやげ屋さんや宿屋さん、のぼりを染めたりする人が失業する

・他の地方に参拝に行かざるを得なくなり、地元に金が落ちなくなり経済が回らなくなる

などの例を挙げて、神社仏閣の地方における経済的効果を説明しています。

 

また同時に、

神社を売ったお金はすぐに無くなってしまうではないか。

(中略)

人々の神社を愛する心や信心は、確固たる財産となる。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

とも言っています。

 

④民の慰安を奪い、人情を薄くし、風俗を害する

神社の国民に対する感化力は想像を超えている。

「何事のおはしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる」というように、

神社は理屈や言論で人に道徳を説得するものではないのです。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

 

加えて、ガヤガヤとうるさく警官が注意しても治らないマナーの悪い群衆でも、しめ縄が張ってある神社の中ではおとなしくマナーを守っているという例を挙げています。

 

言論や理屈、圧力で道徳を教えるよりも、「かたじけなさ」で人を感化してきたのが神社。

その神社やお寺が無くなれば、風俗が乱れ、住みにくい社会になると言っています。 

 

 

愛国心を損なう

郷土愛は愛国心につながります。

出稼ぎをした人が稼いで戻ってきた時には、産土神にそのお金の一部を献上したり、出稼ぎに行った地方の名産物をおみやげとして奉納したりするところに、愛郷心を見る事ができます。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

この例でわかるとおり、郷土愛の中心・シンボルとなっているのが、地元の神社だったのです。その神社を潰すことは、郷土愛を棄てることにもなります。

 

日本の国体は神道=神社を元として数千年の歴史を紡いでいます。

繁栄は天神地祇の恵みによって、先祖代々成り立っているものと考えられていました。

そのため、その土地の神社が無くなれば、郷土愛や天神地祇への感謝、先祖とのつながりを無くしてしまうといっています。

 

加えて、人間の世俗的な心理からも愛郷心の喪失の危険性を説いています。

神社が無くなれば村人たちのコミュニケーションが減ったり、お祭りなどの娯楽が減るため、人材が流れてしまった例がある。

流出した人材を取り戻すために、また神社を再建復活させたところもある。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

 

 

南方はこの章の最後で、堕落した神官に向けて警告をしています。

先祖代々数百年もの間崇拝してきた神社を、金のために売る拝金神主の説く愛国心を誰が聞くのか。そんな奴は日本が危なくなったら、外国に国を売り渡すこともしかねない。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

 

 

⑥土地の治安に大害がある

 

神社という、誰もが清浄でマナーを守って使用する癒しの場所が日本の至る所にある。

それにも関わらず、わざわざその神社を潰し、そこに別荘や歓楽街などを作るのは言語道断である。

(中略)

神社に来る人間は多かれ少なかれ畏む心があり、周りに問題を起こさない。だが別荘や歓楽街に来るような連中が増えると、ゴミなど景観が悪くなり、マナーも守らないため、連鎖的に風紀や治安が悪くなり、また住民の不満も募っていく。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

 

本文では孔子の言説を引用し、心理学でいう割れ窓理論と同じような理論を展開しています。

汚れた場所やマナーが悪い場所での犯罪率は高くなるのは、皆さんも経験則からご存知だと思います。

 

また、神社の今まで背負っていた治安維持機能や防災機能などを挙げて、その大切さを説いています。 

・過去の津波の標高点などに神社があり、それを壊すことは過去の災害の記録をも消す 

・災害などの緊急時の避難先に神社を利用したいた

・神社の森林がなくなることで、鉄砲水や水質汚濁などの自然環境が壊れる

・神社の森林は人だけでなく、その他の生物や植物の憩いの場でもある

などと政府に反論をしています。

 

 

⑦史跡と古伝を滅却する

みんなは史蹟というと、国の重要な出来事が起きた場所や、有名な場所だけを思い浮かべているが、実はそれは違います。

(中略)

だが、地方ごとに伝説や風俗、祭儀の方法や笑い話などが存在しているのです。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

と言っています。

 

一個人に歴史があり、それは尊重されるべきものだとされています。

そして地方にも歴史があり、それも加えて尊重すべきではないでしょうか。

個人の歴史は、個人の未来につながるとすれば、地方の歴史もその地方の未来に繋がっていると思います。

 

そして、その地方の歴史や伝説は、地方の神社やその近隣で起きたと南方は言っています。

 

地方の伝説は、神社やその近郊に多い。

だが、私利私欲にかられた者やエセ神職などに社地は勝手に掘られ 、古塚は発掘され 、取る物さえ取れば跡は全く壊されている現状だ。国宝ともなるようなもの、学者の研究を要する古物珍品が失われ、たまたま研究者が見つけてもその由縁やエピソードがわからずに、学術上の研究が妨げられてしまう。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

と、主張します。

 

今は何か分からないものや、見過ごされているものでも、保存してれいればゆくゆく新発見があったりする。だが、それが失われればその可能性も無くなるのだ。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

 

失ったものは戻ってきません。

それを頭に入れた上で、史蹟や神社仏閣の今後を考えていくべきだと思います。

 

 

⑧天然風景と天然記念物を亡滅する

わが国特有の天然風景はわが国の精神をビジュアル化した、いわば曼荼羅のようなものである。(※筆者注:曼荼羅とは、仏の悟りを絵にしたもの。) 

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

 

神社は森林などの自然を内包したものである。

だからこそ、神社を守ることは、自然風景を守ることにつながっていきます。

 

理屈や論理では知り得ない、感得できないものもある。インテリは別として 、特に凡人には 、綺麗な景色や壮大な光景を眺めて物思いにふけったりしている間に人に、何となく真理を感得したり、気分が変わって前向きに生きる気力が湧いたりすることがある。

これは、学校教育にも成せない技である。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

というように、景観の大切さを主張しています。

 

また、生物学者南方熊楠ならではの視点での主張もあります。

 

神社にある植物や樹木は、神に奉納するものであるから、珍しいものが植えられてる事が多い。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

植物のほか、微生物や希少な動物なども、神社がなくなる事で姿を消したと書いてあります。

 

諸外国での珍しい生物や植物のサンプリングにはお金がかかる。でも、日本では神社に行けばタダでサンプリングが出来るので、外国の生物学者達はこれを羨む。

出典:『神社合祀に関する意見』より筆者が現代語訳したもの

と、業界の情報も織り交ぜています。

 

 

守るべきもの

神社やお寺は、その地域が代々受け継いできた尊いものです。

 

最近は、

・維持費の問題で廃社廃寺となる

・過疎化により氏子や檀家が居なくなる

・外国人が神社を買い取り、エセ神職となる

というような事態が起こっています。

 

今まで当たり前にあって意識してなかった神社や仏閣のありがたみやメリットを享受出来ないくなればどうなるでしょうか。

 

目先の利益だけではなく将来的なことも視野に入れて、ひとりひとりがこの問題から目を逸らさずにいて欲しいと切に願っています。